photo by Masaki Hamada
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透明性を保ちながら機能するイメージを目指して

平野敬子

由布市の人々が集い世界の旅人が行き交う場「由布市ツーリストインフォメーションセンター」にとっての最適なコミュニケーションデザインのスタイルを模索した解答として、地名とインフォメーションの略語を組み合わせた造語「ゆふいんふぉ」を愛称と設定し、コミュニケーションツールの核に位置づけました。わずか6文字の中に「ゆふ」・「ゆふいん」・「いんふぉ」という三つの言葉が連なる愛称のアイコン化にあたっては、言葉の壁を越えて認識できるよう欧文表記のロゴタイプ「YUFUiNFO」を基本形としました。

シンボルマークは速やかな認知を促せるように、円の中に“i”を配置したインフォメーションを表すピクトグラムのベーシックなスタイルを踏襲しつつ、オリジナルの欧文書体開発によって独自性を打ち出しています。

VI(ヴィジュアル・アイデンティティ)カラーに指定した「空色(そらいろ)」は、はじめて由布院駅に降り立ったときに目にした、由布岳背景の透き通った空の色の印象の記憶から導いた、この地をイメージした色です。

デザインの命題―環境の美観を損なうことなくイメージを機能させるため、そしてシンボルマークやロゴ、VIカラーの安易な展開や消費によってイメージを劣化させないために、VIカラーの使用範囲を必要最小限にとどめ、不用意に色を拡張させないというレギュレーションを定めています。

コミュニケーションデザイン開発とともに坂茂さんから依頼されたカーテンのテキスタイルは、建築との親和性に心を砕いた結果として、有機的な幾何形態のパターンを創作しました。オパール印刷という技術から生まれた透過と不透過が混在する布のマテリアルが間仕切りの物質性を軽減させ、人の気配を感じさせながら内と外をゆるやかに隔てることを可能にしました。

建築空間と連携する情報の有り様として「info card」という紙の情報ツールを制作し「YUFUiNFO」(ゆふいんふぉ)を中心としたネットワーク構築の試みも始めます。